健康美ルポ

外見を美しくすることで内面から美しく、そして、ヘアケアを通じて心に「元気」を与える。

化学療法による脱毛や脱毛症で悩む方々に医療用ウィッグで髪型を元に戻し、ヘアケアと社会復帰をサポートする非営利団体、 NPO法人 日本ヘアエピテーゼ協会。その活動に共感と感銘を受け、今回の「健康美」ルポは 、大阪、千葉の2サロン様で活動についてお話を伺いました。

再現美容は全て患者様から教わった。

日本ヘアエピテーゼ協会とは?

今から8年前、私たち夫婦の昔からの友人で、現在協会の代表理事の奥様が乳がんを患ったことがキッカケでした。当時、奥様は、抗がん剤治療により髪の毛が抜けてしまい、かつらをかぶることを余儀なくされたのです。でも、結局納得いくかつらが見つからず…。そこで、代表は奥様の思い通りになるようにノーカットのウィッグを制作し、何とか元の状態にカットできないかと考えたのです。それがヘアエピテーゼ協会のはじまりでした。以来、同じような悩みを抱えている人たちがもっといるのではないか? 私たち美容師として何かできることはないか? そう考え、かつらや脱毛前後の髪のケアをボランティアで始めました。その後、徐々に私たちの活動に賛同する美容師が増え、2005年NPO法人に。今では全国15都府県、120の医療機関の協力を得ながら、23サロンが加盟しています。

ヘアエピテーゼとは?

医療用に開発した特殊なウィッグです。「エピテーゼ」とはドイツ語で義手や義足などを意味し、失った髪を元通りに再現したいという思いから「ヘアエピテーゼ」と名づけました。一般的なウィッグと大きく違う点は、スタイルが決まっていないこと。状況に応じてカットやサイズ変更ができるウィッグなのです。ストレッチ素材のネットに毛をすべて手で植えているので、分け目も自在に作れますし、脱毛する過程で変化していく頭のサイズに合わせてネットの大きさも調整できます。

毛質も人毛と人工毛をブレンドすることで、よりナチュラルに。よく一からかつらを作るので高いと思われる方が多いようなのですが、ヘアエピテーゼは年間のケアを含めて13万円弱に設定。一度ウィッグをカットして合わせていくだけではなく、その後のメンテナンスやヘアチェンジ、脱毛の進行に合わせた微調整、脱毛前のヘアカットや自髪が生え始めたころのヘアケアなど、すべてを一貫して行います。また、施術を行うのは国家試験に合格した美容師で、我々協会主催の「かつらの学校」で講習を受けた、ウィッグや脱毛の知識を学んだ再現美容師です。


奇抜な技術やデザインはいらない。髪型を元に戻すことが私たちの役目。

再現美容師とは?

通常のウィッグだと、すでにスタイリングが完成しているため、我々美容師として手を加えるのは抵抗がありました。 しかし、ヘアエピテーゼは、元の状態に戻す、つまりウィッグを使って再現することが目的。そのため、作品作りに走らないことが再現美容師に求められます。ヘアエピテーゼの使命は、あくまで脱毛前から脱毛後、そして自髪が生えて、その方が社会復帰するまでサポートすること。抗がん剤投与により、どのタイミングで髪が抜けはじめ、頭の大きさがどのくらい変化するのか、また脱毛前の髪型はどうしておくべきかなど、ある程度の知識が必要とされます。

特に女性にとって髪が抜けていくのは、私たちの想像をはるかに超えるくらいショッキングなこと。ただでさえ、病気と治療で肉体的にも精神的にも追い詰められている状態で、追い討ちをかけるように脱毛が始まるのです。これは実際に同じ経験をしていないと理解できないことなので、私たちはお客様と接するとき同情しないようにします。本人しか分からない苦しみを抱えながら、張り裂けそうな気持ちで来店され、望んでいるのは、決してオシャレなヘアスタイルではなく、元通りにして欲しい、ただそれだけ。再現美容師に求められるのは従来のカット技術でもカリスマ性でもなく、コンシェルジュ的な要素と専門的な知識なのです。

ただ〝髪と向き合う〟のではなく、1対1の信頼関係を築けるのが再現美容師。

再現美容師の喜びとは?

お客様の顔に笑顔や安堵の表情が戻ったとき。みなさん脱毛だけでなく、将来のこと、家族のこと、多くの不安を抱えながらお店を訪ねてくださいます。体を元通りにして欲しいというのが本音だとは思いますが、せめて髪型で見た目だけでも元通りになると、少しだけ元気が出るみたい。普通に美容師をしていたら、こんなに感謝されることや、ここまで人の役に立てたと実感することはなかったでしょう。私たちはウィッグを通じて、1人の方としっかり向き合うことができるのです。髪のことだけでなく、病気のこと、家族のこと、何でも気軽に話せる信頼関係ができて、頼りにしてもらえることがうれしくて。そして、社会復帰まで見届けられたとき、とても幸せを感じます。

今後の目標を教えてください。

国内だけでなく、海外も視野に入れてもっと多くの人に、この医療用ウィッグ「ヘアエピテーゼ」の存在を知っていただきたいですね。また、看護師さんなど、医療従事者の方の理解ももっと得られるよう努力したいと思います。

「助けよう。すてきな髪で笑顔の暮らし」を合言葉に、抗がん剤治療・脱毛症などで悩む人々の髪ケアと社会復帰をサポートする非営利団体。
TEL 03-3440-4572
http://www.hair-epithese.com/

ウィッグカット、スタイルチェンジ、調整カット、治療前の自髪カット、治療後の自髪カットなど、料金には1年間のトータルケアが含まれています。

information 取材にご協力頂いたのは…

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